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珍しいフェニキアネックレスの物語

このネックレスは親玉をはじめとする約20個のフェニキアの古代グラスビーズで構成されています。
フェニキアは現在のレバノン周辺にあったエジプトの属領でした。紀元前1100年頃に独立して貿易国と
なりました。レバノン杉で大型船を建造して中近東からスペインに及ぶ国々と交易して巨大な海洋貿易
国家になりカルタゴ、ロードス、キプロスからスペインに及ぶ多くの植民地を建設しました。
世界で最も早く簡便な20文字のフェニキア文字を発明して通商、政治、軍事上の記録や意志伝達に
大きな貢献をしました。ギリシャ文字もロ−マ文字も現在私達が便利に使っているアルファベットも元は
すべてフェニキア文字です。自国産のレバノン杉を用材の輸出のみならず船舶建造と、貴重なガラス
製品という工業製品でフェニキアは富裕になりました。

世界最古の博物誌として有名なギリシャのブリニウス『博物誌』36巻.65にフェニキアで偶然ガラスが作ら
れた面白い物語が記されています。
フェニキアのベールス川を航行する舟が食事の支度をしようと岸辺に停船しました。あたりは砂浜で食事
のための大鍋を支える石が見つからず、船荷の天然ソーダの塊を並べてその上に鍋を置きました。この
ソーダ塊が加熱されて、岸辺の白砂(ガラスの原料になる珪酸が多い)と融けあって綺麗なガラスが偶然に出来たと記されています。この川の少し北のテイルやシドンが地中海世界では最大のガラス生産地として有名でした。

古代地中海地域ではガラスの噐やネックレスは黄金より貴重なものでした。
このほか金、銀、銅、宝石、香料、象牙などを盛んに交易し、最大の海軍力を持つにいたりました。

このフェニキアグラス玉は紀元前400年頃から紀元前100年頃の時代に作られたとされています。
クリティーズのカタログNY2001の135から138の図版に類似のビーズが見られます。
一番大きな親玉は黄色、ブルー、白の三色の目を貼付けた珍しい黄色半透明で半球状のアイビーズで
ちらちらと銀化しています。このほか赤やブルー地のアイビーズなども入っています。細長い形状のビーズは鉄芯のようなコアーに溶融した色ガラスを巻き付けた芯巻珠です。それぞれ銀化したりパティナ(表面の経年変化)がついたりして落ち着いた色合いになっています。小粒の丸玉にはローマングラスビーズも入っているようです。グラスビーズの間の小円盤は石や貝を丸く平た仕上げ、穴を開けて1個づつ手作りされたスペイサーでこれが全体のビーズを引き立たせ変化を与えています。

フェニキアは最後の植民地カルタゴとローマ帝国との数世紀にもわたる抗争を経て名将ハンニバルの死と共に地球から姿を消しました。このネックレスは地中海に覇を唱えた古代フェニキア人が存在した証でもあり二千年以上も生き長らえて来た珍しいものです。通常はビーズ1粒いくらで取引きされています。

長さ約64cm、親玉ビーズの径約2.3cm
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